WUGの解散は、東北の復興だ
「復興」とは、どういう意味なのか。
大辞泉にはこう書いてあります。
『いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ること。また、盛んにすること。再興。「災害から復興する」「伝統工芸を復興する」』
再び元に戻る。
今回使う意味であれば、何もかも無くなった街を再び戻すもの。
復興という言葉を背負い、僕らは7年と4か月生きてきました。
2011年3月11日。一生涯忘れることのできないこの日付。
こんなに怖い日はなかった。あれほど夜が長い日はなかった。
もしこの地震がなかったら。
山本監督がこのWUGを東北を舞台として作り上げることもなかったでしょう。
そして、「Wake Up, Girls!」というものも誕生していなかったのかもしれません。
我々被災地、被災者が行うのは「復興」、それを支えてくれるのが「復興支援」そのものです。
例えばアイドルや俳優が来て炊き出しをしてくれる。
10円でもいいから募金をしてくれる。
いろんな物資を送ってくれる。
何もかも無くし、寒い避難所生活することになった私たちは本当に感謝でいっぱいでした。
そしてこの「WUG」も、復興支援の一つなのです。
この時の監督は、
「アイドル戦国時代の中、たくさんのアイドルアニメが作られてきましたが、声がかからなかったため自分で作ることにしました。また、東日本大震災という国難の中で、東北を舞台にした『Wake Up,Girls!』で、東北を元気にしたいと思います」と綴っています。
「東北を元気にしたい」
たったこれだけで何らかの形で復興支援ということになるのです。
そして、「永野 愛理」「奥野 香耶」この2人がいなければ、
WUGというものは「復興を騙ったお遊び」になっていたでしょう。
この2人を、被災地出身といってしまえばそれだけになってしまうのですが、被災者だからこそ分かるものがあるはずです。
東北を舞台にするのに、ましてや震災を使うとなれば東北出身者が居なければただのお遊びにしか見えません。何なんだお前らはと。
でもちゃんと「分かっている」人を選んだのでしょう。だからWUGは東北に寄り添えたのだと思います。
復興、と一括りにしても、一人ひとりそれぞれの「復興」があります。
例えば家を建て直せた。
例えば港が綺麗になったりとか。
例えば街が綺麗に元通りになったら。
小さなことでも自分の直したいもの、失ったものを少しでも取り戻せたら。
「復興した」と言えるでしょう。
「復興した」とすれば、「復興支援」も終わるわけです。
つまり何が言いたいか。
Wake Up, Girls!が解散するということは、東北が復興した証
と捉えることもできるでしょう。
やれ円盤がとかそんなことはどうでもいい。
がれきの山は消え去り更地へ。
更地から家が。商店が。工場が。
家が建てば人が。昔の賑わいが。
泥だらけでも、空き地にプレハブで復興商店街。
高台移転、集団移転。プレハブから一軒家へ。
すべてを飲み込んだ海へと再び漕ぎ出し捕る海産物。
ほかの人の手を借りずとも、限りなく元の状態に戻れる、戻せる。
それができれば復興したといえるでしょう。
WUGの7人。これほど東北のために尽くした声優ユニットなんてもう一生現れないと思っています。
東北を知っているから、復興というものをよく分かっていると思います。
だからこそ解散が惜しい。もっと東北の良さを伝えてほしかった。
こんなに仙台へ、東北へと、ファンを寄せ集めることなど並大抵の努力では出来ないこと。それをやってのけた。
東北へ来て観光し、美味しいものを食べ、地域にお金を落とす。
ワグナーは、「聖地巡礼」をしただけで、「復興支援」をしてくれたのです。例えアニメだろうとなんだろうと。
実際に来て、実情を見てもらえた。これだけで本当にうれしい。
1期の9話。『ここで生きる』
これは気仙沼の話でした。生々しい被災地の景色が描かれていました。
この光景をアニメで放映する。普通ならクレームが来てもおかしくはなかったでしょう。
けれどもあの景色を見て、ワグナーが訪れるようになった。
普通考えられないことです。
ただテレビをみて、「大変なんだねー」とかしか思われてなかったようなところへ来る。
そして泊まる。まだ放射能がーとか言われたときですよあの時。
被災地へと足を運ぶワグナー、とんでもないなって。半端ないって。
そして気仙沼の話で私が思うこと。
聖地がいい意味で消えるのはいいことだと。
つまり復興している。
復興によって気仙沼の聖地が消える
聖地巡礼オタクには悪いとは思いますが、これはいいことだと思っています。
だって復興に向けて一生懸命やってるんですもの。
新しい街へと生まれ変わるために消えるのですもの。
結局長ったらしくお気持ちを垂れ流してしまいました。
WUGの解散は、復興がまた一歩進んだ。
WUGから大きな力をもらいました。
WUGに支えられました、これから一人で生きて行くのです。
ありがとう、WUG!