あの日、電気がすべて消えた夜空の下で、満天の星空をみました。
こんなに星があるんだなぁて。こんなに綺麗なんだなぁって。
ラジオが伝える津波の情報。大地ではたくさんの人が天に昇りました。
きっとあの星空は、天に昇った人々の命の輝きだったのでしょう。
あれから7年10か月。今でもそう思っています。
だからこそ産まれた「Wake Up, Girls!」というユニット。
「Polaris」という曲。
僕はこの曲をライブで聴くたびに、歌詞を見るたびに、あの時を思い出してしまいます。
頭の中がオーバーフローして、収拾がつかなくなるのです、あの時受けた傷を思い出させてしまうような。
だからこそ今回、「Polarisといかに付き合うか」を個人なりにやりたいと思います。
逃れることはできません。最後までWUGを追いかけていくのであれば、この際向き合うべきだと思いました。
歌詞を自分なりに読み解いて、実体験と重ね合わせて。
どこまで自分で満足できるのか。どこまで理解できるのか。
あの日のことが書かれている、1番だけでも向き合いたいなって思います。
1番の歌詞、これはまさに2011年3月11日のことでしょうと確信を持って言える歌詞です。
実体験したものと同じなのですから。
街明かり消えた夜
誰を頼ればいいの?
不安とかイライラが闇を作り出す
不安だらけでした。
家族で同じ部屋に集まって、小さな蝋燭の明かりと石油ストーブ。
幾度となく襲い掛かる揺れ。ラジオからは現実とは思えないような報道。
2時間たった気がしても30分とかだったり。あれほど長い夜はありませんでした。
君と見た景色さえ
黒く塗りつぶされて
楽しいも嬉しいも波がのみこむの
津波で流されていったものでしょう。
あの波はすべてのものをのみ込みました。家も、写真も、友人も、親も。
大事だったものすべてが、巨大な波の中に消えていきました。
諦めて逃げたくなった天に
ここが個人的に引っかかる歌詞。
この意味が犠牲になった人に辛くてついていきたいのか。
同じ天でもう一度平穏な暮らしがしたいのか。
つまり自死ということにもなるような意味合いがある気がします。
確かに光る星たちのパレード
一番星めがけ駆け出そう
あの日の満天の星空。輝く星、真っ先に見つけたのはオリオン座でした。
上の一節を引き留めるかのように。僕らは空で見ているよと。
キラキラlucky lucky 奇跡が
ボクを導いてく
奇跡。不思議な出来事。
生き残ったことへの奇跡、でしょうか。この先どうなるかは分からないけど、生きているということはとても大事なことだって。
ずっと先のなん億光年も
輝ける思い出のように
こぼれ落ちた涙は流れ星に変わるから
我慢せずはきだしちゃえばいい
だってボクは君を照らすPolaris
ここをどう区切っていいのかさっぱり思いつきません。
どこかで切ると、意味がつながらなくなってしまうのです。
この「ボク」は天の上にいるのかなって、
たとえ地上からはいなくなっても、その時の思いとかは忘れていないよ、
もし辛くなったら空にいるボクに話かけて。
泣いてもいいんだよ、それも見ているし、応援しているよ。
天の上から見守っているよ、と「ボク」が語りかけているメッセージなのかなって。
ここまでが1番。
あの日起きたこと。津波ですべてを失ったこと。
サビでは天へ上った「ボク」からのメッセージ。
やっぱり応援する歌なんだって。
今生きている僕たちを励ますための曲。
天から降りてきて、地上の星になって、今この曲を届けているのが、
彼女たち、「Wake Up, Girls!」なのかもしれません。
これも奇跡なのかもしれません。
2番までいこうかな、って思ったのですが、今書きながらPolarisをループしてて、
この1番の歌詞を自分なりに解釈したら、かなり気持ちが楽になりました。
やっぱり1番の歌詞が、心の傷と共鳴するように反応してた気がします。
あの日のすべての記憶が、様々なことで人へと伝わり。
その記憶が人へ、また人へと、人の手を渡って、詩になり。
その歌をあの日があったから産まれたユニットが歌にする。
まさに「奇跡」
そんな気がしました。
Polarisとの付き合い方。
それはWUGからの、「応援歌」だと思うことにしました。
あの日を乗り越えた奇跡に、生き延びたボクらに。
天から見守る人々からの「応援歌」だと。
「生きる」って、素晴らしいことなんですね。